逆流性食道炎
胃酸が食道に逆流することにより、胸やけ・呑酸(どんさん:酸っぱいものが上がってくる)・胃もたれ・つかえ感などの症状や食道粘膜に炎症が起きる病気です。
胃酸の増えすぎ(食生活の乱れ)や下部食道の括約筋機構の低下(加齢や前かがみの体制)による、胃酸の逆流が主な原因です。
自覚症状と、内視鏡検査での食道の炎症(びらん)の程度を評価します。食道に炎症がなく、胸やけなどの症状だけ訴える患者さんは「非びらん性胃食道逆流症」とも呼ばれています。
胃酸の逆流を防ぐため、食事(脂っこいもの、刺激の強いものを控える)に注意することや、日常生活(ストレス・お酒タバコ・下痢便秘・)に工夫が必要です。さらに薬物療法(PPI:プロトンポンプ阻害薬)の内服が必要です。
ピロリ菌
正式にはヘリコバクター・ピロリ菌と呼ばれる細菌の一種です。ピロリ菌は土壌に生息し、上下水道が普及していなかった世代で、乳幼児期の2~5歳で感染し、現在は、家族内での経口感染が大部分だと考えられ、50歳以上の場合70%以上がピロリ菌を持っているとされています。
胃の粘膜に炎症を起こし、慢性胃炎となり、さらには急激に胃痛を起こしたり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発を頻回に繰り返したり、様々な悪影響を及ぼし、最近では胃がんに関わっている事がわかりました。
検査には、血液中か尿中かの抗体測定、糞便中の抗原測定、尿素呼気試験と、内視鏡検査にてウレアーゼ試験、鏡検法、培養法があります。症状改善や予防のために一次除菌(PPI+2種類の抗菌薬)を行い、4週間以上経過後に再検査の予定。除菌成功でも定期的に検査を勧めます。除菌失敗なら二次除菌へ。
機能性ディスペプシア(FD)
慢性的な胃もたれ・胃の痛み(みぞおちの痛み)・早期飽満感(食事を開始して、すぐに胃がいっぱいになり、それ以上食べられなくなる感じ)などの症状を繰り返し感じるが、内視鏡検査などでは胃の異常は見つからない病気です。
FDは日本人の11-17%にみられ、決して珍しい病気ではありません。治療することにより症状が改善し、生活の質(QOL)が向上するので、適切な治療を受けることが重要です。思いあたる症状があれば、ご相談ください。
原因として、さまざまは要因が組み合わさって症状が起こると考えられており、胃運動異常(排泄と弛緩の異常)・生活習慣・ストレス・知覚過敏などが挙げられる。治療は生活指導+食事療法+薬物療法(消化管運動改善薬+酸分泌抑制薬+漢方薬)で、改善が期待できるため、早めの受診を。
過敏性腸症候群(IBS)
おもにストレスの影響により、下痢や便秘を慢性的にくりかえす疾患で、およそ10%程度の人がこの病気であるといわれている、よくある病気です。
女性のほうが多く、年齢とともに減ってくることがわかっています。お腹の痛み、便秘・下痢、不安などの症状のために日常生活に支障をきたすことが少なくありません。食事療法や運動療法ですぐに症状を改善させるのは難しく、お薬を服用するのも効果的です。IBSのタイプ(下痢型・便秘型・混合型)によって治療薬が異なりますので、まず、ご相談ください。
潰瘍性大腸炎(UC)
大腸および小腸に慢性の炎症または潰瘍を起こす病気を総称して炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease: IBD)といいます。代表的な疾患として知られているのが潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis: UC)とクローン病で、いずれも難治性の腸管障害であり、若年層での発症が多くみられます。大腸の炎症が良くなったり悪くなったりし、粘血便や下痢が特徴です。長期経過した場合にがんを発症する可能性があります。
内科的治療(薬物療法:5-SAS製剤:サラゾピリン・ペンタサ・アサコール、ステロイド、免疫調節剤、免疫抑制剤など)に抵抗性か、がんの発症している場合は、大腸全摘の外科治療となります。定期的な内視鏡での検査が必須です。
感染性腸炎
細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体が腸に感染してさまざまな消化器症状を引き起こす病気です。細菌ではサルモネラ、カンピロバクター、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌などがあります。ウイルスで多いのは、成人ではノロウイルス、小児ではロタウイルスです。寄生虫としては、赤痢(せきり)アメーバ、ランブル鞭毛虫(べんもうちゅう)などがあります。
感染性腸炎では自然治癒の傾向が強いため、脱水や自覚症状に対する対症療法(脱水補正の点滴のみ)だけでよい場合が多い。
痔の対応
痔は、痔核(いぼ痔)・裂肛(切れ痔)・痔ろうの3つに分けられています。痔核:直腸肛門の血行が悪くなり、血管の一部が膨れ上がる。直腸側で痛みを伴わない内痔核と、肛門皮膚側で痛みを伴う外痔核があり、通常の痔は内痔核の事を指しています。裂肛は排便時に痛みがあり、出血は紙につく程度。直腸と肛門の境目に菌が入り化膿したものを肛門周囲膿瘍と呼び、それが破れて直腸と肛門が繋がった管を痔ろうと呼びます。
予防には、お風呂に入る、お尻をきれいにする、便秘・下痢に注意、トイレで強く力まない、座りっぱなしは避ける、刺激物は控える、などがある。
まずは薬物療法(内服・座薬・軟膏)を行い、無効な場合は外科的手術(硬化療法・ゴム結札・手術療法)の適応となる。